専門教育においての「アクティブ・ラーニング」

最近「アクティブ・ラーニング」という言葉をよく聞くと思いますが、一体どういう事を言うのでしょうか?また専門学校教育においての「アクティブラーニング」とは一体何でしょうか?


日本では、アクティブ・ラーニングという言葉は大学教育から使われ始めました。

このきっかけとなったのは、2012年8月28日の中教審(文部科学省中央教育審議会)の答申です。

その答申のタイトルは「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~」です。あまりにも長いので、業界では「質的転換答申」と呼んでいます。 

答申の中でいう「質的転換」とは、学生の「受動的な受講」から「能動的な学修」への転換のことです。つまり、受け身ではなく主体的に授業を受けられるようにしよう!ということです。

 答申資料では、「従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である」と述べています。 


今までは大学教育で多く使われていた言葉ですが、2020年の学習指導要領改訂に向けて

小中学校にもその波がやってきたといえます。


時代の波に乗って「アクティブラーニング」を取り入れようという動きは良いと思いますが、

おそらく今、指導を行っている先生方の多くは一斉教育の世代。いわいる「詰め込み教育」を受けてきた世代でしょう。


先生の話は黙って聞く。といった事が当たり前だった世代にとって、能動的で主体的な授業は

ギャップがあると思います。


どちらにしても「アクティブラーニング」を現場で消化しきれずに安易に取り入れてしまうと

大きなリスクを背負うことになるでしょう。

分野によっては「国家試験」という「詰め込まなければいけない」場合もあると思います。


専門教育にとっての授業をアクティブにするということは、絶対的な基礎技術力の上に成り立つものであります。新学習指導要領の他の指針である、「人間性」「道徳心」などがあっての「発想力」であるとも言えます。

単なる「異端児」に育ててしまわないよう、注意が必要です。


大事なのは「アクティブラーニング」という言葉に踊らされる事なく、「学生」が「能動的で主体的な学び」が出来る事だと思います。

話し合いをさせたり、グループディスカッションをさせる事は手段にすぎません。


ただ、これからの時代の教育の為に、教職員が学ばなければいけない事が多いことは確かな事だといえるでしょう。